睡眠に不満を抱える
◎寝つきが悪い/目が冴える
◎眠りが浅い/寝汗をかく
◎早朝に目が醒める
睡眠を整えるには、いろいろな要素・条件が関わってきます。日中の生活スタイルとかストレスの有無とか、
入眠する時間とかリラックス法とか、寝室の環境・雰囲気とか寝具とか。それらの関わりは複雑で、何から手をつければ良いのか?どれが一番効果的なのか?いろいろ試しても駄目な場合の解決法は?と、迷う部分も少なくありません。
漢方では睡眠トラブルは、「肝」と「心」の失調と考えます。簡単に言うと、肝は頭(頭脳)の理性に、心は頭の本能に相当する部分です。例えば、思い悩む。不意に目覚める。頭が冴えない。そういったことには、頭脳の理性的な面が関わります。一方で、興奮が抑えられない。焦りや不安を感じる。くよくよする。そういったことには、頭脳の本能的(感情的)な面が関わります。
大人の頭脳では、理性と本能がいつも連携していますが、自然な睡眠は、①睡眠を欲する本能の発現②覚醒を促す理性の終息を通じて満たされます。逆に言えば①睡眠を欲する本能の低迷②覚醒を促す理性の緊張。この2つが、自然な睡眠を妨げる要素となる訳です。
なお、東洋医学では理性と本能の関わりを「木」と「火」に例えます。木(理性)は、火(本能)を助長する存在になる。けれど、高まりすぎた火は、木を根絶やしにする存在にもなる。そうして木が根絶やしになると、火もやがて消えて共倒れになります。
睡眠障害に服んでおきたい漢方薬とは即ち、①心を整えて、睡眠に対する本能を回復する漢方薬②肝を整えて、妨げとなる理性を抑える漢方薬を意味します。①には例えば、昂ぶりをなだめる酸棗仁湯や桂枝加竜骨牡蛎湯、慢性的な心労を回復する帰脾湯や牛黄清心丸に、一服の価値があります。②には例えば、精神的な緊張による昂ぶりを鎮める黄連解毒湯、理性(自律神経系)の強張りを解す柴胡疎肝湯や抑肝散に、一服の価値があります。