• 神経が細い

    気が弱くなる
    ◎心配性で気にしてしまう
    ◎漠然とした不安に駆られる
    ◎心が疲れた感じがする

     人の感受性を表した言葉に、神経が細い・太いというのがあります。神経が細いことは、しばしばマイナスの印象に捉えがちですが、読みを変えれば神経が細い=神経が細やかということ。「過ぎたるは及ばざるがごとし」の通り、そういう神経の細さは、むしろプラスの要素となり、対人関係でも重宝する特質です。そういった細さは、その人の性格を反映した面もあり、太くするということは難しい。けれどそれで構わない訳です。

     その一方で、神経が人並みに太い人が、何らかの経緯で神経を細くする(=痩せさせる)ケースがあります。社会的なストレス。近隣住民との対人関係。ネットワークでの書き込み・中傷。今の社会には、神経を細くする要素が増えています。そういう要素の存在がすぐに、神経の細さに及ぶ訳ではありませんが、一旦に神経が細くなれば、歯止めが利きにくい環境である面もまた事実です。

     大らかさと繊細さ。漢方では、人が持つ二極の気質を陰陽で解釈します。ちなみに、大らかさは陽を、繊細さは陰をそれぞれ象徴しており、神経が細くなるとは、①本来の大らかさが欠けること(陽虚)②繊細さに歯止めが利かなくなること(陰虚)のいずれかと推察されます。即ち神経が細くなるとは、その人が本来(=性格的に)持つべき陰陽の調和を欠いた状態を反映する訳です。

     神経の細さに服んでおきたい漢方薬とは即ち、その人本来の大らかさ・繊細さの調和を整える漢方薬を意味します。それには例えば香蘇散や温胆湯、帰脾湯、あるいは桂枝加竜骨牡蛎湯などに一服の価値があります。 

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